今日買った雑誌「AERA」に,「人間データベース化する韓国SNS」という,韓国でのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス,友人同士がネットワーク上で情報交換する場を提供するサービス)の普及についての記事が出ている.それによると,韓国では国民の3分の1,20代女性に限れば9割が「サイワールド」というSNSに加入しているそうだ.
サイワールドでは名前・経歴・趣味・写真等が「ミニホムピィ」とよばれる個人ホームページで公開されているため,「見合いの話が来ると,その相手の名前と生年をサイワールドで検索すれば,相手の写真や経歴,友人関係がわかる」らしい.これが記事でいう「人間データベース」という意味である.
よく考えてみれば,これは大学教員の間では,ウェブというものが現れて以来,ずっとやっていることである.ウェブが普及しはじめた1995年ごろ,「ホームページを作って世界へ情報発信」というキャッチフレーズがよく聞かれたが,まもなく「ホームページを作っても,とくに発信する情報もないし,見てももらえない」ということで,一時ほどは流行らなくなってしまった.
ところが,大学教員にとっては,自分の個人ウェブサイトは「ミニホムピィ」どころか「巨大な名刺」である.私の公的なウェブサイトをごらんいただければわかるように,仕事に関するあらゆる情報を載せている.大学教員にはこういうサイトを作っている人が多いので,名前と所属で検索すれば,どんな経歴でどんな研究をしている人か,たいていわかる.
こういうサイトを作っているのは,もちろん研究の宣伝のためである.だが,同じ研究者であっても,企業の研究者がこういうサイトを作っているのは,ほとんど見たことがない.企業の研究者は会社という組織で研究を進めているのだから,勝手に宣伝サイトを作ることはできないだろう.大学教員は,大学という組織に属してはいるが,研究に関しては自営業なのだ.
私が現在の勤め先の公募に応募して採用されたときも,採用側では私のウェブサイトを参照したそうだから,効果はあったということになる.正直にいうと,私的ウェブサイトにあるコンテンツは,もともとは,仕事に関するサイトへ人を呼び込むために作ったものであった.現在ではそちらのほうがメインになっている観もあるが.
[追記] 「つきあってみるといい人なのよ」という記事もご参照ください.
(06. 1. 24)