復活当選

先日,衆議院議員総選挙があった.現在の総選挙では,ひとりの候補者が小選挙区と比例代表に重複して立候補することができる.これにより,小選挙区でいったん落選した候補者が,比例代表で当選して復活することが可能である.

この「復活当選」,どうも評判が悪いようだ.よく見かける批判は,「小選挙区で『ノー』を突きつけられた議員が,なぜ当選できるのか」というものである.復活当選した議員のことを「ゾンビ議員」といったりするのも,そういう見方を表わしている.

だが,復活当選制の是非は別として,そういう批判のしかたは的外れだ.小選挙区制では,得票が他の候補者よりも1票でも多い人が当選となる.当選者は,その選挙区の有権者の大多数に支持された,選挙区の代表とは限らない.当選者は他の候補者に比べて多く支持されているというだけであって,他の候補者が全然支持されていないと決まったわけではない.

だから,復活当選というしくみは,「ノー」と言われたわけではない人を拾い上げる,よいアイデアだと私は思う.現在は比例代表の結果によって復活当選が行われているので,大政党に所属していれば,得票が少なくても復活できる,という問題がある.だから,比例代表制はやめて,小選挙区落選者のうち,惜敗率の高い人から順に復活するようにすればどうだろうか.

要は,オリンピックの陸上競技予選で行われている「予選各組の1位と,それ以外の選手のうちタイム上位から何人かが予選通過」というしくみと同じである.「各地区の1位と,2位のうちの最高勝率チーム(ワイルドカード)がプレーオフに進出できる」という,野球のメジャーリーグの制度も同様である.

それにしても,「『ノー』を突きつける」だとか「刺客」だとか,どうしてそうネガティブな発想になるのだろうか.投票のときに,候補者に「X」をつけたりはしていない.小選挙区制選挙は,「『ノー』を突きつける」ものではなく,「選挙区の候補者のうちのひとりに『イエス』を与える」もののはずだ.

(05. 9. 25)