数え年

昨年12月21日の「四十而不惑」という記事で,「私は1964年12月21日生まれで,今日で40歳になった.」と書いた.

年が明けて,実家の両親に「今年は数え四十二の本厄だ」と言われて,意外な思いがした.確かに数え年では平成17年の元日で42歳になるのだが,ついこのあいだ満40歳になったばかりなのに,42歳だといわれてもピンとこない.

昔の日本では,数え年が当たり前だったので,誕生日を祝う習慣はなく,例えば戦国武将の誕生日というのもたいていわからないそうだ.元日に全員一斉に年をとるというのは,わかりやすいのは確かだ.だが,馬のように出産の季節が決まっているのならそれでもよいが,人間にはそういうことはないから,まるまる1年分の年齢差のある人間が一斉に年をとるわけで,数え年はあまり合理的とはいえない1)

だが,数え年と同じような制度は今も残っている.それは「学年」である.この制度では,4月2日生まれから翌年の4月1日生まれの,1年分の年齢差のある人たちがすべて「同学年」とされるため,とくに小学校低学年までは4月,5月生まれの子供が有利であるといわれている.

いっそのこと,学校の入学を春と秋の年2回にすれば,同時に入学する人の年齢差が半年におさまるので,よいのではないだろうか.学年がひとつ違うだけで先輩だの後輩だの言っているおかしな習慣も,差が半年ごとになれば少しはおさまるかもしれない.ただ,大学に勤めている身としては,現在のような入学試験を半年ごとにするのは,できれば避けたいが.

(05. 1. 15)

1) 中学の時の国語の先生が,「満年齢よりも数え年のほうが正しい.満年齢はゼロ歳から始まるので,母親のお腹の中にいた期間を数えていない」と言っていたのを覚えている.しかし,これは数を1から数えるか,それともゼロから数えるかの問題であって,数え年と満年齢の違いの本質とは関係はない.