「」と『』

作文の時間に習ったところでは,会話文等を引用するときは「」で囲む,さらに「」の中にカッコが必要なときは『』を使う,ということになっている.たとえば,

彼は「こんにちは.」と言った.
その本には,「彼は『こんにちは.』と言った.」と書いてある.
ということになる.

最近は,パソコンで文章を書くことが多くなった.パソコンを使うと,他の文書から一部をコピー・ペーストで簡単に持ってくることができる.

ところが,他の文書からカッコを含む文章を引用するためにコピー・ペーストすると,困ったことになる.たとえば上の例の場合,

彼は「こんにちは.」と言った.
という文章を引用するためにコピー・ペーストすると,
その本には,「彼は「こんにちは.」と言った.」と書いてある.
となってしまうので,コピー・ペーストしてから内側のカッコをいちいち「」から『』に直さなければならない.

もし,これが

その本には,『彼は「こんにちは.」と言った.』と書いてある.
のように,外側のカッコのほうを変えるというルールであったならば,コピー・ペーストした部分は書き直す必要はなかったことになる.

カッコの使い方のルールを決めたときには,コピーペーストという考えはなかったわけで,ルールを決めた人を恨むわけにもいかない.だが,今となっては,このルールができてしまって不運であったとはいえるかもしれない.

(04. 5. 20)