ノーベル賞を受賞した田中氏は,テレビ等で「サラリーマン」と紹介され,なかには「サラリーマンで初のノーベル賞」などと報じているものもある.
これまでの日本の受賞者は大学教員が多かったわけだが,では大学教員はサラリーマンではないのだろうか?職場に出勤して,給料をもらっている分には変わらないと思うのだが.確かにタイムカードや残業手当はないが,時々出勤すればよいというものではないし,最近は企業でも研究開発部署にはフレックスタイム制をとっているところも多い.
そういえば,大学院を修了して大学教員になったとき,「大学院を出て,就職せずに大学に残られるんですね」とよく言われた.そうじゃなくて,大学に就職したのだが.
ただ,自分では「大学に就職した」というよりも「大学教員になった」という意識のほうが強いのは事実だ.「料理屋に就職した」というよりも「板前になった」というのと同じで,組織への所属意識よりも,「大学教員」という職業への所属意識のほうが強い.
板前さんが「包丁1本」で渡り歩いていくように,大学教員も大学を移って行く.私も今の職場は2つめである.前の職場も今の職場も,教員の出入りは頻繁なほうだが,それは悪いことではなく,むしろ活気がある証拠だと思う.「日本の大学では,一生母校から動かない傾向があって,流動性が悪く,...」という記述を見かけるが,どこの世界の話かと思う.
(02. 11. 4)