4月に,岡山市から東広島市に引っ越した.大学院生の時に実家を出てから,11年で8ヶ所目の住処である.はじめは引越し通知のハガキを印刷したりもしていたが,こんなに何度も引っ越していると,住所と電話番号を知人に知らせるのが面倒になってくる.
よく「誰それの住所」「誰それの電話番号」という表現をするが,それは厳密には違う.住所や電話番号などの「アドレス」は「場所」に対応するもので,「人」に対応するものではない.これらの住所や電話番号が人に対応するように感じられているのは,人と場所が密接に結びついているというのが当然だという前提があるからだ.
しかし,「人と場所は密接に結びついている」という前提は崩れてきている.交通の発達と経済活動の広域化が進んだことにより,私のように頻繁に引っ越している人は,最近は珍しくない.さらに,この前提を乗り越えた「アドレス」が近年登場した.それが,電子メールアドレスと携帯電話番号である.自分のアドレスに届いた電子メールは,どこにいてもインターネットを通じて読むことができる.また,携帯電話は,位置情報データベースが自動更新されることによって,相手がどこにいても呼び出すことができる.
ならば,郵便や宅配便も,この仕組みを取り入れられないものだろうか?つまり,電子メールアドレス(のようなもの)と実際の住所を郵便局に届けておく.そして,郵便物の表書きには電子メールアドレスだけを書き,郵便局で実際の住所に変換して届けるようにするのだ.これなら,何度引っ越しても郵便局に連絡するだけでよい.
最近,「どこでもコンピュータを使う」という意味の「ユビキタス・コンピューティング」という言葉があるが,この「ユビキタス郵便」,現在の技術で十分実現可能だと思うのだが,どうだろうか?
(02. 7. 14)