スポーツの記事で,最近よく「勝利の方程式」という表現が使われる.これは,例えば野球で「中継ぎと抑えにA投手とB投手を投入すると,必ず勝てる」という場合など,「必勝法」の意味で使われる言葉のようである.このように,「方程式」という言葉には「確実な答えが出るもの」という印象があるようだ.
しかし,数学が教えるところによると,たいていの微分方程式(量の変化を表す方程式)は解くことができないそうである.大学の理科系のクラスでは,いろいろなパターンの微分方程式の解法を学ぶが,逆にいうとこれらのパターンに当てはまらない方程式は解けないということなのだ.解けない方程式を解かないままにして,解の性質だけを見抜くという数学の理論もある.世間の印象とは異なり,方程式を立てただけでは問題は解決しない,ということのようである.
子供のとき見た特撮テレビ番組で,秘密基地に所属する博士が「あとはこの方程式を解くだけです!」と言って,隊員たちが喜ぶという場面があった.そのときは,へー博士すごいなと思っていたが,実は問題は全然解決していなかったのだ.方程式を解いてから言ってくれ,博士.
(02. 7. 6)
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