米国同時多発テロ

「ニューヨークのビルに飛行機が衝突」というニュースは,最初ネットで知った.それでNHKのニュースを見たところ,最初はその件について何も触れていなかったので,またガセネタかと思っていたらニューヨークの映像に切り替わり,その結果2機目の衝突の瞬間をリアルタイムで見ることになってしまった.NHKのアナウンサー,特派員とも何が起こったのかよくわかっていないようだったが,私もこれがビデオなのか生なのか一瞬混乱してしまった.

状況がわかった後,まず強く感じたのは,「いくら強い軍隊を持っていても,国が守れなかった」という事実であった.国や組織という単位では事態は複雑だが,個人間で考えると,このことがよくわかる.権勢を誇っている人も,「窮鼠猫を噛む」の例えどおり,いつ大打撃を受けるかわからない.それよりも,「敵を作らない」ことが,いかに重要か,ということだ.

1996年の大河ドラマ「秀吉」で,竹中半兵衛が次のような遺言をする場面があった.

古の兵法書に曰く 将たる者の器
腹黒き人を見分け 危機を未然に察知し 能く部下を統率す
是れ未だ十人の将なり
早暁より夜更けまで軍務に精励し 言葉遣いも至って慎重である
是れ未だ百人の将なり
曲がったことを嫌い しかも思慮に富み 勇敢にして戦う気力旺盛なれば
千人の将なり
見るからに強く しかも部下将兵の労苦を思いやる心を持てば
一万人の将なり
有能なる人材を登用し 自らは日々怠りなく修養に努め 寛容にして仁義に篤ければ
十万人の将なり
人々を慈しみ 信義を以って 近隣諸国を心服させる
これぞ天下万民に将たる器なり

今一度噛みしめたい言葉である.

(01. 9. 23)

[04. 5. 19追記] ここに「この『古の兵法書』とは何か,どなたか教えてもらえませんか?」と書いておいたところ,「ショージ」様からメールで教えていただきました.諸葛亮の「心書」にある「将器」という文章だそうです.ありがとうございました.