夏休みになった.
もう8月の5日で,夏休みも中盤じゃないか,とおっしゃるかたもあるかもしれない.実は,大学の夏休みは,8月のはじめから9月の末までのところが多くなっている.これは,夏休み前に前期の試験を終えて単位を確定することで,9月入学6月卒業の国へ留学したり,それらの国から留学してくる人の便宜を図るのが目的らしい.
しかし,おかげで7月末の一番暑い時期に,講義や試験をやることになり,何のための夏休みかわからなくなってしまった.私が広島大学に移って来た4年前は,講義室には冷房はなかったので,部屋の大きさに対して人数の多い講義の時は大変だった.とくに私は汗かきなので,講義後のアンケートに女子学生に「見苦しいので汗をかかないでください」と書かれたこともあった.いまはどの講義室にも冷房が入っているが,わずか1ヶ月半ほどの期間のために,冷房の設置費と電気代に高いお金をかけていることになる.ただ,国立大学教員の場合,夏期休暇は「講義が夏休みになる期間中に,連続して3日間」とれることになっているので,夏休みが8,9月になったせいで,気候がよく混雑しない9月に休みがとれるようになったのは幸いである.
ところで,「学校の先生は春夏冬と休みが長くていい」という人によく出会うが,すくなくとも自分にとってはそんなことはない.夏休みは講義をしなくていいだけであって,本当の夏期休暇は先に述べた3日間,有給休暇をつなげてもせいぜい1週間である.それ以外は決して休みではなく,ふだんどおり出勤している.講義に時間を取られることがないぶんだけ,研究に関してはかきいれ時であり,夏休み期間中に学会が開かれることも多いので,ふだんより忙しいこともある.
ところが,先日テレビの「新婚さんいらっしゃい」で見た,東京と札幌でそれぞれ大学教員をしている夫婦は,「どうやって会っているのですか?」という桂三枝さんの質問に対して,「大学の先生には春夏冬の休みがありますから」と答えていた.そんな大学の先生もいるとはうらやましい限りである.専攻は哲学だそうだが,確かにそういう分野なら在宅勤務も可能であろう.
(01. 8. 5)