非拘束名簿式比例代表制

先日行なわれた参議院議員選挙で初めて採用された「非拘束名簿式比例代表制」は,どうも「わかりにくい」と不評のようだ.31日付の中国新聞のコラムでは,

「鳩山由紀夫さんの名前がない」「小沢一郎さんはどこに」。一 昨日の参院選比例代表の投票所で、若い娘さんや主婦から戸惑いの声が漏れた。政党の候補者名簿の中に、候補者と混同してイメージの強い党首の名前を探していたのだ。

という記述があり,「選挙制度は、分かりやすくてシンプルが一番だ。」という結論になっていた.実際,比例代表区で候補者名で投票した人は37%で,後の人は政党名で投票したそうだから,わかりにくいというのは当たっているのかもしれない.戸惑っているのが「若い娘さんや主婦」であることを強調するのは疑問があるが.

しかし,わかりやすいものは常に正しいのだろうか?わかりやすさという点でいえば,王様がすべてを決める絶対王政が一番わかりやすいだろう.「わかりやすいものが正しい」という考え方は,思考を放棄している危険な考えかたではないだろうか.

私は,「非拘束名簿式比例代表制」は,死票を少なくする比例代表制の長所をもち,かつ「党内の誰を選ぶか」に有権者の意見を反映させることのできる,けっこういい方式ではないかと思う.そこで,「わかりにくさ」を改善するために,投票用紙を次のような質問形式にしておいてはどうだろうか.

1. あなたは,どの政党に投票しますか.→[      ]
2. 1.で投票した政党の候補者のうちで,一番当選させたいと思う人は誰ですか.→[      ]

そして,政党名と候補者のどちらかが空欄だったり,政党名と候補者が食い違っている票は無効票とする.そうすれば,この選挙は単に「誰」を選ぶものではなく,まず「何党」を選ぶもので,個人票は単にその中の「誰」の順位を決めるだけだということが理解されやすいのではないだろうか.

それが理解されれば,「30万票とって落選,2万票で当選」というのも,おかしくないことがわかる.候補者個人の票は党内での得票率を比較するためだけのものだから,他の政党の候補者との比較は全く無意味だ.

(01. 8. 2)