私が住んでいるマンションのそばに小さな公園があり,通勤の時はこの公園の中を通ってゆく.公園には木がたくさん植えてあるので,夏は当然セミの大合唱の中を通り抜けることになる.ただでさえ暑いのに,そんなに大声で鳴かなくても,と思う.暑さを念押しするように「暑いか暑いか暑いか暑いか暑いか〜〜〜〜〜」と,セミによってたかって言われているように感じる.

ところが,山や森へ出かけると,もっとたくさん木があってもっとたくさんのセミが鳴いているにもかかわらず,心地よく感じたりするから不思議である.もちろん,通勤時と山に出かけたときでは,気の持ちようが違うからだろう.だが,それ以外に,音響効果の違いというのはないだろうか.森の場合は,木々の間に鳴き声が反響して,適度なエコーがかかっている.それに比べ,公園の場合は,木が低く,鳴き声が直接耳に突き刺さるように感じる.

日本語では,「蝉時雨」という言葉があったり,「五月蝿い」と書いても「七月蝉い」とは書かないように,セミの声というのは,これだけうるさくても好意的に捉えられている.セミは6年間を地中で過ごし,地上では2週間しか生きられないというのはよく知られているが,そのはかない命を思いやってのことなのだろうか.

(01. 7. 28)

[追記]上に書いた岡山市の「中島田公園」は,その向かいの「ナカシマプロペラ」の社員の方がよく掃除してくださっているため,都市部の小公園としては大変きれいである.これにはいつも感謝している.