6月19日付の朝日新聞「天声人語」に,タシケントの東洋学大学日本語学科で教えている日本人の話が出ていた.旧ソ連では,ソ連時代からコネが横行していて,有力者の子女は優遇されることが多いが,その日本人の先生はそれを認めず,そのことが当地の若者には新鮮であった,という話である.
その記事の最後の結びは次の通りであった.
日本語学科は公平という評判がたち,優秀な学生が志願してくる.私は外国人だから情実にとらわれずにすむ,と菅野さんはいう.
日本でも大学の教授陣を外国人にすれば学力の低下を防げるかも知れない.卒業生は240人.現在二十数人が日本に留学中だ.遠い国にこうして友人が増える.
大学教員としては,まったく心外な話である.この記者は,「日本の大学では単位認定に情実が横行している」ということを当然の前提としている.この記者の出た大学がそういう大学だった,というだけじゃないの,と言いたくなる.
「日本の大学は,入るのは大変だが,入ってしまえば卒業は簡単」という「伝説」を,無条件に信じている人も多い.だが,それは正しくない.とくに工学系の学部では,4年で卒業できるのは入学者の7割程度という学科が普通で,半分というところもめずらしくない.工学部の就職状況がよいのは,勉強しなければ卒業できないから,卒業生の品質が大学によって保証されているからである.また,外国語学部も,話せなければ卒業できないのだから,進級・卒業は厳しいようである.
小泉内閣タウンミーティング・鹿児島会場の議事要旨でも,次のような話が出ている.
- 大学は入ってしまえばいいという状況を改善すべき.(会場)
- 最近は大学でも(進級条件が)厳しくなっている.ただしそれに苦情を言う親もいる.子と同様親も変わらないといけないと思う.(岩男議員)
まったくその通りだ.
(01. 6. 24)