「講義でもっと練習問題をやってほしい」

私は,今年の前期(4月〜7月),統計学の講義を3つ持っている.先週で全体の予定のだいたいの半分まで進んだので,学生の反応を見るためにアンケートをとった.

いろいろ参考になる意見も多かったが,その中で気になったのは「もっと練習問題をやってほしい」という回答がいくつもあったことだ.そういえば,他の先生の数学の講義のアンケートでも「定理の証明なんかどうでもいいから,講義中にもっと練習問題を解いてほしい」という回答をよく見かける.

残念ながら,その要望には答えられない.現在の大学の講義には,練習問題を解く時間は割り当てられていない.もちろん,一部の数学の講義などでは,講義の時間に続いて「演習」という時間が確保されていて,問題演習をやるものもある.しかし,その場合には,「○○学」と「○○学演習」には別の単位数が割り当てられ,演習の指導・レポートの採点などを行う大学院生のアルバイトも割り当てられている.しかし,一般の講義にはこのような時間や人手は確保されていない.

練習問題を解くのは,自分でやることなのだ.大学の単位は,普通の講義では「半年間の週1回の講義」で2単位となっている.ところが,上のような「○○学演習」や,実験・実技・語学の単位数は,同じ「週1回・半年」受講しても1単位である.それはなぜかというと,普通の講義では,自分で練習問題を解いたりして,授業時間のほかに自分で勉強する分が単位に含まれているからだ.

そもそも,理論や定理の意味を理解しないで,問題が解けるはずがない.てっとりばやく問題の答えだけを聞いて,試験をパスしようなどという不心得者には,単位を出すわけにはいかない.

(01. 6. 11)