私は,教養的教育科目の統計学の講義を毎年担当している.教養的教育科目だから,いろいろな学部・学科の学生が受講している.
この講義の学期の最初の授業のあとで,次のような質問をする学生が必ずいる.
「私は文系なんですけど,数学が苦手でもついていけますか?」
この質問に,私はこう答えるようにしている.
「数式は見るのもいやだ,と言うのならこの講義はとらないでください.そうでなければ,使う数学は+−×÷と√と二乗だけですから,ついていけるはずです.」
この返事を聞いて,受講を続ける学生もとりやめる学生もいるが,よく見ていると,こういう質問をする学生には,そのまま受講を続けても途中で脱落して来なくなってしまう人がしばしばいるようだ.使っている数学は確かに+−×÷と√と二乗だけなのにもかかわらず,である.
思うに,こういう質問を発する学生は,ホンネでは
「私は数学が嫌いなのでやりたくないのですが,数学をやらなくても単位がとれますか?」
という,虫のいいことを期待しているのだろう.
そういえば,学期末のアンケートでこんなことを書いていた学生がいた.
「もっと簡単に,教養程度にやると思っていた」
どの程度が「教養程度」なのだろうか.教養科目をなめるなと言いたい.
(01. 5. 10)