「日本はよいこともした」

ハワイ沖の潜水艦事件について,アメリカのワシントン・ポスト紙が「もう我々は日本に十分謝った」というコラムを掲載した.その中で,「アメリカは戦後日本の復興に貢献し,日本の盾になってきた」ことを主張している.

ところで,時々日本の政治家の「(戦前の)日本は韓国によいこともした」という発言が問題になることがある.

自分が生まれる前のことだからわからないが,当時,「大東亜共栄圏」という理想を真に信じて,それらの国々の発展に貢献しようという志をもっていた日本人もいたのではないかと思う.だから,「よいこともした」というのも,全面的にまちがっているわけではないのではないだろうか.

と,かつて私はそんなことを考えていたが,ある人に次のようなことを指摘された.「それならば,『アメリカは,戦後日本の復興に貢献した』ことも認めなければならない.」それを聞いて,私はかなり考えを改めた.

「アメリカは戦後日本の復興に貢献し,日本の盾になってきた」ことは事実だろうが,日本人の一人として,そのような恩着せがましい言い方は受け入れがたい.ならば,日本の政治家の上の発言も,韓国にとってはやはり恩着せがましい言い方に感じられることもあるだろう.常に相手の立場にもたって考えてみるというのは,やはり重要なことだ.

(01. 3. 2原著)
(01. 7. 26大改訂)

[追記]記事では,「日本は従軍慰安婦問題や南京大虐殺について部分的にしか謝っていない.対照的に,アメリカは世界でもっともよく謝る国になっている.アフリカ人を奴隷にしたことに対しても,インディアンへの迫害に対しても謝っている」と述べている.世界で唯一核攻撃を行った国がよく言えたものである.ワシントン・ポスト紙の記事の原文はこちら.