私は大学の数学教師だから,当然入試の数学の試験にもかかわっている.もちろん,入試のやりかたの詳細をここに書くことはできない.
ただ,ひとつだけ言いたいことは,数学という教科は,ただ答えを出せばよいというものでは決してないということだ.数学の試験の答案は,問題の解法と解答を採点者に説明する報告書である.問題に対して正しい答えを出すことはもちろん重要だが,それと同時に,解答を導く過程を,数式,数学用語,そして日本語を使って説明する能力も問われているのだ.はっきり言って「論文試験」だと言っていい.
大学の講義の期末試験でも,答案には解答の過程をきちんと説明を日本語で書くように,試験の前の講義で入念に説明する.それでも,答しか書いていなかったり,数式をただ羅列してある答案が出てくる.もちろん,ばっさり減点する.
世間ではなおのこと,「数学は計算して答えを出すもの」と思われているようだ.「数学は,論理構成力,説明能力を養う教科である」ということが,世間一般の常識になってほしいと思う.
(01. 3. 2)
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