雑誌「AERA」(01. 2. 19)に,「不振Mac大丈夫か」という題名の,アップルコンピュータの業績不振についての記事が出ている.
私は10年以上Macintoshを使ってきた.今も大学の自分の研究室ではMacを使っている.個人的にも,最近までMacintosh PowerBook2400を使っていた.しかし,いまこの文章は,松下のLet's noteで書いている.アップルのユーザー軽視の姿勢が嫌になったからだ.
PowerBook2400を購入当初は「5年間加入できる」という約束だった修理契約は,3年で一方的に打ち切られてしまった.PowerBook2400のようなサブノートパソコンの後継機は,日本で署名運動まで起きたにもかかわらず,「日本でしか売れない機種は出さない」の一言であった.松下が,ユーザーからの要望にこたえて,トラックボールのついた機種を復活させたのとは大違いである.
「AERA」の記事でも,中見出しに「売り方が高飛車だ」と出ている.そのとおりだ.業績不振も自業自得である.しかし,その記事の中で気になる記述がある.
だが関係者は「かつてMacのデザイン力は圧倒的だったが,最近は他メーカーが力を付けてきた.そうなれば初心者は,使いやすいウィンドウズを手に取る.爆発的に増えている初心者を取り込めないメーカーは苦しい」と見る.
実際,Macと同じようにデザイン重視のソニー「VAIO」は,ウィンドウズ対応という使い勝手の良さ,メモリースティックの拡張性などを打ち出している.
パソコンを初めて使う「初心者」が,なぜウィンドウズが「使いやすい」「使い勝手が良い」とわかるのだろうか.ウィンドウズを選んでいるのは,単に「ウィンドウズしか知らないから」だけではないのか.
私は上述のように,最近ウィンドウズとMacを同時に使うようになった.最近は両者の差はあまりなくなっているかと思っていたが,やはり微妙な使い勝手の点では,Macはその歴史のぶん,一日,いや数日の長がある.ウィンドウズを使っていると,「パソコンなんてこんなものなんだから,この程度の使い勝手で我慢しろ」と言われているように感じる.ファイルのアイコンをクリックしたときに起動するアプリケーションが,ファイルの名前の後ろの.xxxで決まってしまうことからして,「不快」である1).
それにしても,上に引用した記事の記述は,アップルがiMacやiBookといった「奇抜なデザインのパソコン」を作る会社としかみなされていないことをよく表している.確かに,iMacで成功して以後のアップルは,そう言われてもしかたがない.
私はいま,古いMacOSをウィンドウズで動かすエミュレータを,Let's noteにインストールしようとしている.Macは好きだ.だが今のアップルは嫌いだ.
(01. 2. 16)
1) 「パソコンはどれでもそうじゃないのか?」と思われた方は,一度Macを使ってみていただきたい.