講演

確定申告の時期である.先日,家に源泉徴収票が届いた.実は,昨年生まれて初めて,「講演」をしてお金をもらう,という経験をしたのだ.といっても,大勢の聴衆を沸かせるような話をしたわけではなく,小さな研究会で自分の研究の話をしただけだ.講演料は3万円であった.

大学3年生のとき(1985年),ある企業の経営者の方が製図の講義をしに来られていた.その方の話では,「私の講演は1回5万円だが,竹村健一さんは1回50万円」ということであった.しばらく前に雑誌で見た記事では,講演料が一番高いのはやはり竹村健一氏で,1回200万円に値上がりしていた.しかも,記事に出ていた50人ほどの有名講演家たちは,ほとんどが「東京から会場まで,グリーン車,スーパーシートで往復」を要求していた.

脚本家の内館牧子氏の本によると,内館氏もふくめ有名講演家というのは,講演に行くときは駅や空港まで送迎があるのが当たり前だから,講演会場が何という名前で,どこにあるのかも知らないのが普通だそうだ.本には,内館氏が大分空港で出迎えの人と行き違いになったとき,行き先がわからなくて,講演会場を空港職員に必死にさがしてもらった件が出ている.

講演に呼ぶほうも大変だが,一度そんな身分になってみたいものである.ただし,私は気が短く血圧が高いので,成人式だけは遠慮したい.

(01. 2. 9)