私は,小豆が苦手だ.味のどういうところが嫌いというのもないし,なぜといわれても困るのだが,とにかく受け付けない.私自身はっきり覚えていないのだが,幼いころ小豆を食べて気分が悪くなったという記憶が,どうもどこかに残っているらしい.兄は,あのとき食べたのは小豆ではなくうどんだ,と言っているが,定かでない.
そんな私には,小学校時代,年に1度「恐怖の日」があった.年に1回,給食に「ぜんざい」が出るのだ.小豆の中でも赤飯はなんとか食べられるようになった今でも,ぜんざいだけは,鍋の周囲の半径3m以内には近づけないほど苦手だ.その匂いが,教室中,学校中に漂っているのだから,猛烈に気分が悪くなった.給食のメニューの予定は事前に配られていたので,ぜんざいが出る日は2,3日前から憂鬱だった.
しかし,当時の小学校では,嫌なことはしなくていい,嫌いなものは残していいなどということは絶対になかった.しかたなく,息を止めて,必死に飲み込んだ.この間,テレビで「バイキング方式」の給食を見たが,まったく夢のような話である.
そのときのメニューは,パンと牛乳+「ぜんざい,塩昆布,りんご」であった.味の組み合わせも栄養バランスもめちゃくちゃじゃないか,と思うのだが.
(01. 2. 8)