小学生の時,理科の時間に「熱は熱いものから冷たいものに伝わる」ということを習った.お湯でものが温まるとか,何かそんな具体的な例を先生が示して,子供たちに「このことからどんなことがわかりますか?」と聞いたりして授業が進んでいったと記憶している.
そのとき私は,納得がいかなかったわけではない.ただ,「なぜ『熱は熱いものから冷たいものに伝わる』と言い切れるのか?」ということには疑問を感じた.それで,ついひねくれ心が出て,「冷たいものから熱いものに『冷気』が伝わります」と発言してしまった.
先生は,「じゃあ氷をお湯の中に入れたら,氷が大きくなりますか?」と,私の発言を一笑に付した.しかし,この説明はおかしい.お湯を冷凍庫に入れれば(やらないほうがよいが),お湯は凍る.それは熱(あるいは「冷気」)の量の問題であって,世の中には「冷気」ではなく「熱」が存在するという説明にはならない.
高校で物理を習うと,熱が分子の振動であることや,エネルギーの変換を習い,電子レンジでなぜ加熱できるかも理解できるようになる.しかし,分子の振動とかエネルギーといった考えなしに,子供に「冷気」ではなく「熱」が存在することを納得させられるだろうか?私自身は,まだ解決できていない.
(01. 1. 31)