結構有名な話だが,エスカレータで急ぐ人を通すために片側を空けるとき,日本のたいがいの地域では左側に立って右側を空けるが,関西だけは右側に立って左側を空ける.
それぞれには,ちゃんと言い分がある.
「右側を空ける」のは,「急ぐ人が,利き腕の右手で手すりをつかみながら,急いで駆け上がれるから」だそうだ.一方「左側を空ける」のは,「疲れていたり,年をとっていたりして体力のない人が,利き腕の右手で手すりにつかまって楽に立っていられるから」だそうである.
この違いは,「エスカレータでは,立ち止まっているのが普通か,歩いて上がるのが普通か」の違いが原因であろう.関西では,とくに通勤ラッシュなどの混雑時は歩くのが普通だから,立ち止まっている人はどこか具合が悪いのだろうと考える.これに対して,立ち止まっているのが普通の地域では,歩いている人はよほど急いでいるのだろうと考えるというわけだ.
私は大阪生まれで27歳まで大阪で過ごしたが,大阪を離れてから福岡,広島,岡山と移り住んでまもなく9年になる.最近は,大阪に行っても,エスカレータでつい左側に立ち止まってしまう.だんだん関西人でなくなっていくのを感じる時である.
(01. 1. 27)