タクシー

海外旅行をすると,交通機関やホテルの予約など,日本ではきちんと進んで当然のサービスが,いちいちトラブルを起こすのを経験することがある.こんなとき,日本ってけっこういい国だなと思う.

唯一,反対の経験をするのがタクシーだ.「通りの名前と番地を運転手に告げれば,直ちに向かってくれる」のが当たり前というタクシーを,留学していたフィンランドをはじめ,いろいろなところで経験した.言葉がわからない国で,住所を書いたメモを見せるだけで行ってくれるのは,本当に助かる.しかも,日本のタクシーと比べて格段に高いわけでもない.

だが,日本の都市で,「何町何丁目何番地」と告げても行ってくれることは余りないし,マンション名でもたいていわかってもらえない.しかも,そのことが当たり前になっていて,客が運転手に道順を教えることを誰もおかしいと思わないようだ.

初めて来た町で,道順がわからないからタクシーに乗るという人も多いだろう.それなのに道順を運転手に教えなければならないようでは,何のためのタクシーかと思う.運転手の養成が大変なら,最近タクシーにつきはじめたカーナビの活用で解決できないだろうか.

ただ,日本のタクシーでありがたいのは,ボラれることがめったになく,たいてい安心して乗れることである.国際空港や大きな駅で,タクシーに安心して乗れるかどうかは,その国や都市のレベルを表していると思う.

(02. 10. 5)