広島県警は,深刻な暴走族問題に対して,暴走族との強い対決姿勢を打ち出した.それと同時に,県警本部長から暴走族メンバーに向けた「最後通牒」ともいうべき文書を発表した.その中に,「(そういう暴走行為を繰り返していると)いまに目のつりあがった一級の犯罪者予備軍になるのだ.」というくだりがある.
世の中に,釣り目の人はたくさんいるだろう.その人たちのほとんどは,当然ながら犯罪者でも犯罪者予備軍でもない.「目のつりあがった犯罪者予備軍」とは,偏見もいいところである.釣り目がいけないのなら,垂れ目ならいいのか?
県警の宣言からまもなく,米国テロ事件の直後に,東広島市(勤務先の広島大学のあるところ)のある市議がイスラム圏からの留学生に向かって「君らもタリバンか?」と言ったと,問題になっていた.市議は「悪い意味ではない.私は純粋な信仰をもつタリバンを尊敬している」と弁解していたが,そういう問題ではない.タリバンを尊敬していても別にかまわないが,他人の心のうちの微妙な問題に,土足で踏み込むような態度がいけないのだ.
両者に共通するのは,「鈍感」である.私は広島県民ではない(岡山市から通勤している)が,広島県で働く者として,大変恥ずかしく思う.
(01. 10. 28)