株価の低迷にともない,EB(エクイティボンド)債とリンク債の損失が問題になっているようだ.
EB債は,「特定の銘柄の株が一定価格以上なら利息をつけて償還する.株が値下がりしたらその株で償還する」という債券である.株がいくら値上がりしても買い手の利益は一定であり,株が値下がりすればしただけ買い手の損になる.売り手にすれば「おまえのものはおれのもの,おれのものはおれのもの」というわけだ.リスクとリターンのバランスがとれていないのは明らかで,こんなものを買うのなら,その株そのものを買うほうがいい.
リンク債は,ある株価指標(例えば日経平均)が基準額を割り込まなければ利息をつけて償還されるが,基準額を1度でも割り込むと元本が保証されなくなる債券である.これはEB債よりはまともで,ペテンとまでは言わない.だが,これは簡単に言えば将来の株価の上昇に賭ける先物買いであり,リスクをともなうのは当然である.
「週刊朝日」の記事によると,欧米ではこれらの債券の販売が禁止されているそうだが,本当だろうか.本当だとすれば,セールスマンがきちんと説明したかどうかなどという問題ではなく,日本国全体がだまされていることになる.監督官庁はこういうときこそ出番である.
(01. 4. 2)