最近あまり聞かなくなった言葉である．しかし，決して過去のものではない．いまでも都市部では，被害の報告こそまれになったものの，時々注意報が発令されている．とくに去年は，猛暑のために，発生が多かったようである．

私と同じように，1970年代前半に都市部で子供時代を過ごされた方は，光化学スモッグを記憶されていることであろう．光化学スモッグ注意報が出ると，グラウンドの朝礼台の上に黄色い旗が立ち，屋外の体育は中止になった．私自身は体に症状が出たことはない．しかし，子供時代の記憶として思い出す「風景」とは，晴れているのに空がぼんやりと白く光っている，あの風景である．

先日，NHKの「プロジェクトＸ」で，ホンダのCVCCエンジンが取り上げられていた．それによると，CVCCエンジンによって排気ガスの汚染物質の量はそれまでの1/10になり，さらに現在はCVCCエンジン以前の1/100になっているそうだ．そのころの空気がいかに汚かったかということがわかる．ダイオキシン問題にしても，小学校には校庭の隅に焼却炉があり，なんでも燃やしていたから，毎日ダイオキシンを吸っていたことになる．

しばらく前に「買ってはいけない」という本が話題になったが，いまさらあれが有害とかこれが毒とか言われても，もう遅いって．

(01. 2. 11)

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