私が最初に勤めた九州工業大学では,毎年春に新入生宿泊研修というのがあった.これは,学科ごとに,新入生と教官が週末に合宿し,履修指導や親睦会などを行うものである.ところが,昼間「イッキ飲みの危険性」などという講演があるにもかかわらず,夜にはなぜかビールが出た.学生は大半が未成年のはずだが,先生も一緒になって,大声で自己紹介をわめきながらイッキ飲みをしている学科を見たことがある.
それだけでも困ったものだが,さらに夜中になると,上級生がやってきて酒を持ち込み新入生に飲ませる,ということが半ば公然と行われていた.酔っ払った学生が暴れて宿の施設を壊し,学生部長が謝罪したこともあったらしい.ところが,このような不行跡を,まるで武勇伝のように語る人がいる.酒を飲んで暴れるくらい,少々乱暴なほうが男らしい,と言いたそうだ.
こんなことの,どこが男らしいのだろうか.自分の行動に自分で責任をとれることが,本当の男らしさだ.酒のことで言えば,自分の酒量を自分で守ることができ,恥ずかしい姿を見せないことこそ男らしい.
責任をとれるようになるには,それを裏付けるものが必要である.少なくとも,自分で稼いで生活していなければ,責任をとれるという自信はもてないだろう.だから,「女子学生のほうが男子学生より元気だ」とよく言われるが,高校生や大学生という立場や年齢なら,それは当然だと思う.
(01. 2. 7)