休講

以前,広末涼子さんが「国文学休講だって」「そんなの知らないよ..あ,メール入ってる」なんてやっている,NTTドコモ「iモード」のコマーシャルがあった.また,KDDI「EZWeb」の学生向けサイト「イージー学園」のサイト案内には,まず最初に「休講情報」が載っている.

大学教員をしている者としては,これはどうも気に入らない.「大学の講義というのは,しょっちゅう休講になる」「休講の情報を,口コミや友人間のメールで伝えなければならないほど,突然の休講が多い」と,世間では思われているのだろうか?

私が学生だったころは,確かにそんな先生もいた.私立大学では休講の場合必ず補講しなければならないが,国立はいいかげん,などと言われていたようにも思う.

しかし,最近はだいぶ状況が変わってきている.少なくとも,私の勤めている広島大学総合科学部の数学のセクションでは,休講は簡単にはできない.学会の用事等で出張する場合でも,その期間が講義にかかっている場合は,それを補う措置,すなわち別の日に補講することにして休講するか,あるいは誰かに代講を頼むか,大学院生に頼んで講義のかわりの演習や中間試験をやってもらうかを,事前に申告しなければならない.

最近,夏休みを8,9月に移して,夏休み前に前期試験が終わるようにしている大学が増えた.広島大学もその制度になっており,前期は7月末で終わりである.ところが,前期は4月のはじめが入学関係の行事でつぶれ,さらにゴールデンウィークで1週間ほど抜けるので,日程はぎりぎりであり,前期は事実上休講はできない.

とにかく,休講は簡単にはできないのだ.だいたい,大学が授業料を取って講義を提供しているのにもかかわらず,その講義を講師の都合で取り消すのなら,本来は授業料を返還しなければならないはずである.

(01. 1. 30)